ここで使われていたのは「MUSVI(ムスビ)」=東京都品川区=が開発したテレプレゼンスシステム「窓」。この「窓」を地方創生や避難所での災害支援に活用し、自治体を支援している岩手県北上市のガス会社「北良(ほくりょう)」が設置した(写真)。今回、利島村の住民も島じまんの会場の雰囲気を感じ、来場者と交流できればとの考えから、利島ブースに投入されることになったという。
ZOOMなどのオンライン会議システムの場合、同時に複数の人々がしゃべると話し手以外はミュートされ、話が聞きとれなくなる。だが「窓」は双方向で同時発話が可能。生活や空間にあるさまざまな音も聞こえるため、同じ空間にいるような自然なコミュニケーションが可能となる。画像も鮮明で、まさに窓の向こうを見ているようだ。「窓」を通じて、島の人々と自然につながり、スタッフが翌日の予定について「窓」から話をしていたのが印象的だった。
自治体がブースを出し、地元の特産品を販売するイベントは各地で催されている。だが、そこに、離れた空間をつなげてくれる「窓」を用意し、来訪者や出身者が地元の様子を感じたり、地元の人々と自然に交流できる場が用意されるのは珍しい。島の様子が「窓」から伝わり、懐かしい会話が聞こえてくるユニークなブースとなった。
沼尾波子 東洋大学教授 連載「よんななエコノミー」 元記事はこちら
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