
2025年に発売された『デス・ストランディング2』。世界的な注目を集めるこの超大作ゲームのエンドロールに、「MADO services provided by MUSVI Corporation」のクレジットが静かに登場します。
その舞台裏には、物理的な距離を越えて人と人をつなぐ「窓」の存在がありました。
コロナ禍を越えて、クオリティを保つための挑戦
プロジェクトの始動は2022年。パンデミックの影響で、小島監督がハリウッドのスタジオに赴き、出演俳優への演技指導やパフォーマンスキャプチャを直接行うことが困難に。
高品質なゲーム制作に欠かせない“リアルな対話”や“空気感の共有”が制限される中、監督からMUSVIに「太平洋を越えても、同じ空間で制作しているような環境をつくれないか」との相談が寄せられたのです。
特に映画的演出が求められる本作では、俳優の体の動きだけでなく、表情や声までを同時に記録する「パフォーマンスキャプチャ」が重要な工程です。
この技術は、俳優が演じる一瞬のまばたきや表情の揺れまで捉え、それをCGキャラクターに反映させることで、まるで本物の人間がそこにいるかのような映像を生み出します。
しかし、その精密さゆえに、現場での演技指導や細かな演出の共有が欠かせませんでした。
「窓」でつながる東京とロサンゼルス
小島監督がいる東京・品川スタジオと、俳優がパフォーマンスを行うロサンゼルスのスタジオ。
この2拠点を、「窓」を2台×2拠点ずつ設置して結びました。
俳優の繊細な動きを遠隔でリアルタイムに確認しながら、演技指導や演出のアイディアを即時に反映。
監督は台本やカメラワークをその場で修正し、まるで同じ空間にいるような感覚で制作を進行させることが可能となりました。
リアルな“対話”と“創作”を支えた「窓」
既存のビデオ会議では難しい、リアルタイムかつ身体性のあるコミュニケーション。
「窓」は、出演者や制作チームの“表情”や“空気感”を伝え合うインターフェースとなり、現場に一体感をもたらしました。
俳優からも「監督の目線や反応がその場で感じられるので安心できた」との声が上がり、
物理的な距離を越えた創作活動のあり方を大きく前進させたのです。
つながりの物語に、リアルな“つながり”を
『デス・ストランディング』シリーズが描くのは、分断された世界で「つながり」を取り戻す物語。
その制作現場でも、「窓」はまさに“つなぐ”というテーマを体現していました。
小島監督のビジョンと、MUSVIの技術が交差したこのコラボレーションは、
これからのクリエイティブの可能性を広げる、大きな一歩となったのではないでしょうか。